緑内障は現代の医学では治すことのできない病気です。
各研究機関によって様々な治療法が研究されていますが、悲しいことに実用までは至っていないのが現状です。
ですので、現在の緑内障の治療の目的はたった1つで・・・
「出来るだけ、緑内障の進行を遅らせる」
これが唯一かつ最大の目的です。
(もしかしたら数十年後には治療方法が発見、確立され緑内障を治すことが出来るようになるかもしれませんが、それは少し先のお話です。)
緑内障の進行を遅らせるためには、何故緑内障になるのか知っておかなければなりません。
ということでまずは緑内障の4つの原因から見ていきましょう。
緑内障の4つの原因
実は、緑内障は原因が明確に分かっていない病気です。
ただし過去のデータから次の4つが緑内障の主な原因と考えられています。
①眼圧が高い
②視神経の血流が悪い
③視神経への物理的な圧迫
④活性酸素
緑内障の原因として「眼圧が高い」が有名ですが、それだけでは説明できないことが多く、眼圧以外の3つの要素も複雑に絡み合って緑内障が発祥すると言われています。
①~③の原因は緑内障について少し勉強した人なら知っていると思うのですが、
最近では緑内障の原因として④の「活性酸素」も注目されるようになってきました。
実は活性酸素がヤバかったりします…
最近では、「活性酸素による組織の酸化が緑内障と関係しているのでは?」と囁かれています。
それを裏付けるのが2017年の東北大学大学院医学系研究科の中澤教授らのグループが解明した抗酸化力と緑内障重症度との関係に関する研究です。
(論文タイトル:緑内障患者における抗酸化力と網膜神経節細胞数の関係 / 著者名: 浅野良視、檜森紀子、國方彦志、山崎舞、志賀由己浩、面高宗子、高橋秀肇、中澤徹[プレスリリース 2017年8月21日])
研究によると緑内障は眼圧が正常であっても症状が進行する場合も多いのですが、眼圧以外の因子として抗酸化力に注目したところ、65歳以下の男性緑内障患者の抗酸化力と緑内障重症度に相関があることが判明しました。
分かりやすく一言で言うと
「全身の抗酸化力が不足すると緑内障が重症化しやすい」
ということです。
この論文によって、活性酸素を抑える働き「抗酸化作用」を体内で働かせることが緑内障による視野欠損の進行を遅らせるに有効な手段になりえることが分かりました。
活性酸素と抗酸化作用
私たちは呼吸をすることで体内に酸素を取り入れて、エネルギーをつくります。
取り入れた酸素の約2%が活性酸素になりますが、実はその全てが体に悪影響を及ぼすわけではありません。
そのほとんどは体内に侵入した細菌から強い酸化力で体を守ったり、酵素の働きを促したりと健康を維持する働きをしてくれるのです。
ただし…
活性酸素の量が増えすぎると、酸化力が強すぎて体に悪影響を与えてしまいます。
(↑これがよく言われている「活性酸素は体に悪い」ってやつです)
血管や細胞を傷つけ、体の内側を酸化(=サビる)した結果、体が老化状態となり、生活習慣病をはじめと様々な病気の原因となってしまいます。
この体内を酸化(=サビる)させるのを抑える働きのことを「抗酸化作用」と呼びます。
抗酸化作用を発動させるには、抗酸化物質と呼ばれる成分を体内に取り込む必要があります。
つまり、抗酸化物質を含む食べものを摂取することで活性酸素を抑えることができます。
活性酸素が増える7つの原因
次の挙げる7つが活性酸素を増やす主な原因と言われています。
①加齢
歳をとるにつれ、体内の抗酸化物質のSODが次第に減っていきます。すると活性酸素を撃退することができず、活性酸素は増える一方。SOD以外の抗酸化作用を保つ成分も、20代をピークに減少していきます。
②紫外線
人体にとって有害な物質である紫外線を浴びると、体を守るために活性酸素が発生。肌に直接紫外線を浴びると特に強力な活性酸素が生まれます。
③喫煙
ニコチンやタールなど、タバコに含まれる成分は体にとっては異物。撃退するべく大量の活性酸素を生成します。また煙に含まれる過酸化水素によって、通常よりも膨大な量に。
また抗酸化物質ビタミンCはタバコによって破壊され、酸化が一層進みます。
④激しすぎる運動
激しすぎる運動をすると、呼吸量が増えて酸素が多く取り込まれるため、活性酸素も通常時より多く発生します。呼吸量が最大10倍程度に上がるほか、体温が上昇することもあり活性酸素の変化率もアップ。
⑤ストレス
ストレスに対抗しようと、体はストレスを緩和する「副腎皮質ホルモン」を分泌します。すると同時に活性酸素が生産されてしまいます。また抗酸化作用の強いビタミンCが大量に消費されるため、活性酸素が優勢に。一時的に血流が悪くなった状態から元に戻る際にも、吸収される酸素量が上がり活性酸素が増加します。
⑥お酒の飲み過ぎ
お酒を飲み過ぎると、肝臓でアルコールを分解するときに活性酸素が副産物として生まれます。アルコールの分解能力が低い、いわゆるお酒が弱い人はより多くの活性酸素が発生。
⑦食生活
食事から摂り入れた脂肪は腸内で分解されますが、分解しきれなかったものは肝臓で解毒されその際に活性酸素を生みます。
トランス脂肪酸を多く含むマーガリンなどは活性酸素が発生しやすい食品。
ショートニングも同様で、ジャンクフードには多用されているため注意が必要です。
…今気づいたんですが…これら7つは眼圧を上げる原因とも共通してますね。
これら7つはあなたが緑内障もしくは緑内障予備軍であれば絶対に意識しておいた方がよさそうです。
③喫煙、④激しすぎる運動、⑥お酒の飲みすぎ、⑦食生活のように自分自身でコントロールできるものついては意識して日々過ごすことが大切だと思っています。
ただし…
①加齢、②紫外線、⑤ストレスのように自分自身ではコントロール出来ないもの(しにくいももの)はどうしようもないので、受け入れるしかありません。
ですので、ある程度活性酸素が増えても大丈夫なように「体の抗酸化力を強くしておく(抗酸化作用が働くような体にしておく)」ことが大事になってきます。
体の抗酸化力を強くするには、抗酸化物質と呼ばれる成分を体内に取り込む必要があります。
つまり、抗酸化物質を含む食べものを摂取することで活性酸素をある程度抑えることができます。
質問です!
「体の酸化を防ぐ食べ物」って何を思い浮かべますか?
ちょっと考えてみてください。
…
…
あなたは何を思い浮かべましたか?
…
…
ちなみに私が真っ先に思い浮かべたのは
・ブルーベリー
・ビルベリー
の2つでした。(ベリー系は抗酸化物質を多く含むってどこかで聴いた記憶があったので。)
実は抗酸化物質を含む食材はたくさんあり、
などが有名みたいです。(その他にもたくさんありますが、紹介しきれないので省略します)
それではこれらの食材にはどんな抗酸化物質が含まれているのか見ていきましょう。
代表的な抗酸化物質
抗酸化物質は大きくカルテノイドとポリフェノールの2つに分類されます。
カルテノイド
カロテノイドは天然に存在する色素のことです。
次に紹介するポリフェノールよりも抗酸化作用が大きいのが特徴。水に溶けにくく、脂質に溶け、脂肪とともに摂取すると効率的に摂取できます。
ポリフェノール
ポリフェノールとは、ポリ(たくさんの)フェノールという意味で、分子内に複数のフェノール性ヒドロキシ基を持つ植物成分の総称のことです。
このように抗酸化物質には様々なものがあるのですが…
以下では、緑内障患者からの注目を集めている「ルテイン」を掘り下げていきたいと思います。
ルテインと緑内障の関係
葉山眼科クリニック(東大宮市、院長:葉山隆一)による臨床試験では、通常の緑内障の治療(点眼剤による眼圧コントロール)を受けている緑内障の患者50人に対し、ルテインを摂取したところ、ほとんど全員が3ヶ月後に眼圧が下がり、視力が上がりました。
ルテインが眼圧を下げることに著名な効果を及ぼすとは言えませんが、一定の効果を及ぼすことは証明できたといえるでしょう。
詳細は「医者がお手上げだった目の病気の次世代栄養素―ルテインとゼアキサンチン、著書:葉山隆一」に書いてあります。
今のところ、ルテイン・ゼアキサンチンと緑内障との関連性についての研究は発表されていませんが、アメリカ国立衛生研究所(National Institutes of Health、NIH)では研究が進められており、近い将来発表されるでしょう。
緑内障の治療については緑内障の手術数が多い眼科専門の病院を受診することをおすすめしますが、医師の中には上記の葉山眼科クリニックのように治療の一環としてルテインのサプリメントを処方するところもあります。
まだまだ研究を進める必要はあるものの、従来のレーザー治療や投薬治療にルテインを加えることでよりいっそうの治療効果を望めることは間違いないようです。
ルテインが含まれている食材とは?
ルテインはパセリ、ケール、ほうれん草に多く含まれています。
パセリやケールは100g中に10㎎ほど含まれていて、圧倒的に多くのルテインが摂れる食材です。
<100g中に含まれるルテインの量>
パセリ | 10mg |
ケール | 10mg |
ほうれん草 | 5mg |
ブロッコリー | 1mg |
レタス | 1mg |
芽キャベツ | 1mg |
夏カボチャ | 1mg |
この表をみてもらうと分かるとおり、パセリ、ケール、ほうれん草以外には微量しか含まれていないので、ルテインを充分に摂ろうとする場合は実質この3つの緑黄色野菜に頼るしかありません。
いやー厳しい!!ルテインは不足しがち
1日に必要なルテインの量とは?
ルテインは、多く含まれている緑黄色野菜でもパセリやケール、ほうれん草を除けば1㎎程度しか含まれていません。
そのため、普通に食事をしていたのでは一日の必要量6~10㎎には遠く及ばないのです。
ですから、目の健康に気を遣いたい人は意識してほうれん草を食べるようにするといいでしょう。
また、現在では数多く発売されているルテインを含んだサプリメントを摂るのもおすすめです。
ルテインサプリメントには普通の食事では取れない量の成分が入っているので、意識的に食べるのが面倒な方や、出来るだけ早く効果を実感したい方は、サプリメントを検討してみると良いかもしれません。
ルテインはそのままだと吸収率がよくない!
ルテインは40代以降はどんどん減少してしまう上に、ルテインだけを摂っても体内でなかなか吸収されず目に届かないことが分かっています。
体内に入った栄養素は体のあちこちの部位から引き合いがあり奪い合いになります。全栄養素の6割は脳で消費され、残りの4割が他の部位に回されるので、目まで回ってくることはとても大変なことです。
そんな中で目までルテインを届けるために重要なポイントが1つがあります。
それは…
ゼアキサンチンとアントシアニンも同時に摂取すること
です。
網膜ではルテインとゼアキサンチン(ルテインの異性体)とアントシアニン(ビルベリーエキス)は必ずセットで存在しています。
ちなみに、ゼアキサンチンはルテインよりも網膜の中心部分に存在し、可視光線による酸化ストレスからの防御の上でより重要な役割を果たしています。
更にゼアキサンチンはルテインと一緒に摂取することでより効果を発揮することが分かっています。
ビルベリーやブルーベリーの青い色素であるアントシアニンには強い抗酸化作用と同時に血流を改善する効果があります。
ルテインを体内の隅々まで届ける流通経路のような働きをするので同時に摂取すると相乗効果が見込めます。
ルテインを効果的に摂る方法とは
通常の食事で眼にいきわたる充分な量のルテイン(1日目安10mg)を摂るのは中々難しいです。
(毎日ほうれん草、パセリ、ブロッコリーを大量に食べることでなんとか摂取できるレベル…はっきり言ってツライです…)
お手軽に1日に必要な量のルテインを摂取するには「サプリメント」が楽です。
一日に数粒を食べるだけでOKなので簡単です。
(ほうれん草、ブロッコリー、パセリのように料理する手間もかからないですし)
まとめ
この記事では、緑内障の原因の1つと考えられている「活性酸素」に対抗するために、「ルテイン」という抗酸化物質を摂取するという方法をお伝えしました。
これで完璧に緑内障の進行が止まるという保証はできませんが、今まで色々ためしても進行が止まらなかった場合や、点眼で進行は止まっているけど眼に良いことは出来る限りやっておきたいという場合は、試してみるといいかもしれません。
ちなみに私は、眼のためになることはドンドンやってみようというスタンスなので、さっそく毎日出来る限りほうれん草を食べるように心がけてます。(パセリ、ブロッコリーは嫌いなので無理…)